はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
ここは、南アメリカのとあるジャングルの中・・・
我々調査隊(二人)は、都市伝説と噂される石投げ男を発見するべく前人未到のジャングルへやってきた。
私の名はoyayubi隊員。
助手の名前はかげてぃ隊員。
二人とも、命のやり取りをする覚悟はできている。
正直、先にトイレに行っておくべきだったと後悔している。恐怖のあまり二人揃って漏らした。
我々調査隊はモンスターが生息する秘境へ足を踏み入れた。
噂によると、石投げ男は唐揚げが大好物らしく、命の危険を感じたらとりあえず唐揚げを投げつけておけば凌げるらしい。
しかし、生憎と今回は唐揚げを持ち合わせていないのでその手段は使えないだろう。
私は唐揚げが大好きだが、かげてぃ隊員は唐揚げよりも竜田揚げが大好きらしいので、おそらくかげてぃ隊員と石投げ男は意気投合できないだろう。 残念だったなかげてぃ隊員。
と、ここで……いつもKPOPばかり聴いているかげてぃ隊員がなにかを発見した。
かげてぃ隊員「これ、石投げ男の足跡じゃないですか!?」
私「これは専門家としての意見なのですが……前人未到なのにこれだけ道が整っているということは、きっと石投げ男が道を切り開いたんだと思います」
かげてぃ隊員「命の危険を感じる……」
私「もっと入りましょう」
かげてぃ隊員「もっと入るんですか!?」
私「無論だ」
かげてぃ隊員「恐怖のあまりまた漏らしそうです」
私「それに関しては心配ない」
かげてぃ隊員「?」
私「なぜならもう、全部漏らしたからだ」
ここ、 妙に道が整っている。
おそらく石投げ男が切り開いたのだろう。
私「おかしいですねぇ、気配はあるんですけど」
かげてぃ隊員「そろそろ出ますかね……」
と、
次の瞬間!
いた
石投げ男「あの、ちょっといいっすか」
かげてぃ隊員「え!?」
石投げ男「あの、背中向けて逃げてもらっていいですか?」
かげてぃ隊員「え!?」
石投げ男「そのほうが緊迫感あるんで」
驚くべきことに、石投げ男は噂と違い石を投げず、演出の提案をしてきた。
演出に口を挟むことで我々との意思疎通を図ろうという算段かもしれない。
あと、明らかに被り物に見えるが、きっとそういう皮膚なのだろう。
かげてぃ隊員「言葉を話した!?」
私「噂では六か国語を巧みに操るらしいですよ!」
かげてぃ隊員「まさか演出の提案をするとは……」
私「噂では、音響や照明もするみたいですよ」
かげてぃ隊員「逃げるんだ!」
私「唐揚げは投げないんですか!?」
かげてぃ隊員「持ってないもん!」
かげてぃ隊員「うわあああああ!」
私「うわあああああ!」
それから、
彼らの行方を知る者は
誰もいなかった……………………